【前回の記事を読む】人間の体は“飢え”に耐えるよう作られていた――その体が今、飽食で狂い始め……
序論
第一節 日本古代史への動機とシャカムニの思想および母系制と父系制についての序論
戦争は、牧畜、農耕の発明の後に生じた。この事実については、多くの考古学者の証言が得られている(佐原真著『戦争の考古学』〔岩波書店〕など)。
住まいの近くに、動物を馴致し育て、住まいの近くに、植物の種を播き育てる、という最初期の技術の発明は、恐らくはいずれも、女性たちの発案と工夫によって成った。
狩猟採集時代、男たちは、武器を手にして、獲物を追い、住居から遠征する生活に明け暮れたであろうし、一方で、女たちは、人生の大部分を妊娠と子育てに費やし、男たちの留守の間の住居の留守居役であり、近場での採集生活を担った。
職掌の分担は、性別によって明確であった。居住地から遠征する男たちと、近場に定着する傾向が強かった女たちのうち、牧畜にせよ農耕にせよ、これを最初に発明しその技術を確立していったであろう者は、疑いなく女性たちであっただろう。
牧畜や農耕は、いったん確立されるや、人一人の生産性を、何十倍にまで、一挙に高める革命的な発明であった。この革命的な生産技術は、人類に、人類がこれまで経験したことのない豊かな富をもたらした。
働き手の何十倍もの人間を養うに足る価値を、この新しい生産技術は生み出した。ところが、不幸なことに、この有り余る富の正当な分配の仕方というものを、人類は、進化の過程で、学んでこなかった。
学ぶひまもあらばこそ、人類の進化のテンポを、遙かに凌駕するスピードで、生産性の爆発的な高騰がもたらされたのである。
人類が、狂い始めた。ちょうど有り余る食料が、人々を糖尿病や高脂血症、高血圧、病的肥満等々の生活習慣病へと誘ったが如くに、莫大な富は、人々を貪欲の奴隷へと誘い、狂わせ始めた。特に、男たちを。