一番のしあわせ

父は 戦後遅くして故郷に 帰ってきた

母は 死亡通知が来ないからと

妻として 家で待ち続けた

娘には言えない 父 母 それぞれの事柄が

あっただろうが

その両親の間に 新しい希望として

生まれた その子は

五年後に 空を見上げていた

生きていること

生きて 深呼吸できる ということ

空に泳ぐ雲を 見られる ということ

日本に無事帰れた両親も

新しい命のその子も 空を見ることができた

当時 それが一番のしあわせだったのだ

 

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