「赤い縄」で遊んでいる時の「J」は本当に嬉しそうで、飽きるということがなかった。

仕事から帰ると、「J」を30分でも40分でも抱きしめながら、いろいろなことを話しかけた。

「J」は嬉しそうに、ソファの上でごろんとしたり、大好きな赤いナワナワをどこからか引っ張り出してきたりして甘えた。

血統書によれば「J」は三重県のブリーダーで生まれ、2か月になった頃、ペットショップへやってきたらしい。つまり1か月近く売れずにいたようだった。

「『J』くんがうちに来てくれてよかった~!」

毎日毎日、私は同じ言葉を繰り返しながら大きくて真っ白なマズルに頬ずりした。

もう「J」がいない生活なんて考えられなかった。

「『J』くんは、生まれる前にはどこにいたの?」

「宇宙から来たのかな?」

他の人が聞いたら、呆れて笑ってしまいそうな問いかけを「J」にしてみた。

「J」がいったいどこからやってきたのか、知りたかった。

まんまるな目で、「J」は私をじっと見ていた。

仕事は忙しかったが、徒歩で職場まで通えたので時間に余裕が出来た。

それより何より、「J」といる時間が楽しくて仕方なかった。

こうして毎日が「J」を中心に過ぎていく。

犬と暮らすことがこんなに楽しいなんて、想像もつかなかった。

休日は「J」を連れて、代々木公園や青山公園に出かけた。

夏には、休暇をとって八ヶ岳や軽井沢のペットと泊まれる貸別荘で過ごした。

特に軽井沢は、私が学生時代から大好きな場所だったこともあって、いろいろな貸別荘を泊まり歩いたものだ。

いつか軽井沢に拠点を持てたらと思ったが、当時は仕事が忙しくて、それどころではなかった。

次回更新は3月20日(金)、19時の予定です。

 

👉『227日後の奇跡』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】40代半ば、自分が女であることを忘れて10年以上。デートや恋がしたくて、ネットで出会い系や交際クラブを探してみることにした

【注目記事】マッチングアプリで出会った男に騙され監禁。そこには複数の女性がいて、上の階からは「お願い、殺さないで」と懇願する声が…