【前回記事を読む】病院に駆け付けた直後に母の容態が急変した。蘇生措置の間、廊下で待つように言われたが、数分後に母は…
第2章 「J」との暮らし
軽井沢貸別荘「ラ トピアリー」
母が亡くなって翌月に軽井沢の貸別荘が完成した。
名前は「ラ トピアリー」。
トピアリーとは、フランスの庭園に規則正しく配置される、刈り込まれた植木のことだ。大好きなヴェルサイユ宮殿の広大な庭園にも、トピアリーが並んでいるので、ご存じの方も多いかもしれない。
この貸別荘は、パリ郊外にあるフォンテーヌブローの森にある貴族の館をイメージしてデザインした。
フォンテーヌブローの名前に纏(まつ)わる逸話がある。
フランス王フランソワ1世が、森の中を狩猟犬に導かれて行くと、そこには美しい泉があった。王は、一目でその場所が気に入り、狩猟のための壮麗な城を建てた。
フォンテーヌブローとは、〝美しい泉〟のこと。
軽井沢にも清らかな渓流が流れ、美しい森が広がっている。
フランス好きの私は、軽井沢は日本のフォンテーヌブローだと思っている。
母と一緒にここで過ごすことが出来なかったことは心残りではあるけれど、私たちが軽井沢で犬たちと楽しく過ごせることを母は喜んでくれていると思う。
天文学に詳しく、私に星を見ることの楽しさを教えてくれた母。
そんな母のことを思い出したいということもあり、貸別荘には天体望遠鏡を備えている。
母が過ごせなかった分、「J」と小雪にはこのドッグランで思いっきり走って欲しい! そう考えていた。