第3章 「J」の闘病

異常な抜け毛

病気知らずの「J」だったが、2016年の秋頃から抜け毛が異常に多くなった。

「『J』くん、どうした?」

ボーダーコリーとしては大柄で23キロもあった「J」は、毛並みも美しく優雅ないで立ちだった。

散歩途中ですれ違った方から、「綺麗なワンちゃんですね~!」と声をかけられたことは一度や二度ではなかった。

だが、それほど美しかった「J」があっという間に毛が抜けて、まるで違う犬種のような痩せた姿になってしまったのだ。

いろいろな病院に行って診てもらい、かゆみ止めの薬を処方してもらっても、毛は抜けていくばかりで、原因はわからなかった。しかし、翌年の春頃からは少しずつ抜け毛も回復していたので、きっと何かのストレスだったのだろうと、私は軽く考えていた。

余命3か月

6月の初め、散歩から帰ったばかりの「J」に異変が起きた。

「J」のために作った特注のスロープをタタッと、いつものように上っていったのだが、その直後、出窓の上で大きく身体がふらついて揺れた。

転落しそうになった「J」を私は咄嗟に支えた。嫌な予感がした。

もう夕方だったが、すぐに当時かかりつけだった病院に連れて行った。

私たち夫婦と、傍らに「J」もいる狭い診察室で、エコーの画面を見ながら、獣医師からさらっとこう告げられた。

「血管肉腫ですね。多分あと3か月くらいかと」

頭が真っ白になった。

え、3か月って、「J」の命があと3か月ってこと?

そんなバカな。

ウソに決まっている。

ふらついたくらいで、なんで「J」が死ぬの?

涙がとめどもなく頬を伝った。

「助からないんですか?」

私は泣き崩れた。