「いくら覚えていないとはいえ酔った勢いで瑠美を抱いたことが、どうしても納得がいかなかったんだ」
「どういうこと?」
「朝、目が覚めたとき、瑠美に言われた。俺が瑠美を抱いたと……」
「だって抱きしめていたんでしょ?」
華菜は俺に食ってかかった。
「落ち着けよ。だから、瑠美の嘘かなと……」
「ありうるかもね」
「それと、沙優に対しての俺の気持ちも確かめたかった」
「それで、その件は解決したの?」
俺は自分の気持ちを華菜に伝えた。
「まず、瑠美を抱いてはいなかった」
「なんで分かったの?」
「瑠美がそう言った」
華菜は少し考えて、呆れた様子で言葉を発した。
「貢、まんまと女の嘘に乗せられちゃったってわけね」
「ああ、しかも別れた当時の瑠美と何にも変わっていなかった。やっぱり、俺はあいつにとって必要ない存在だったよ」
「沙優さんへの気持ちはどうなの?」
俺ははっきり華菜に伝えた、沙優を愛していると……
「俺は沙優を愛している」
「そう、それなら早く沙優さんの意識が戻って、元の生活に戻るといいわね」
「ああ、そうだな、いろいろ世話になった」
「まだ、安心出来ないわよ、沙優さんが許してくれないかもしれないし……」
「おい、脅かすなよ」
この時、まさかそれ以上の過酷な運命が待っていようとは想像も出来なかった。
次回更新は3月21日(土)、22時の予定です。
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