【前回の記事を読む】入院中、病室が突然真っ暗になった。相部屋の人に「停電になったな」と問いかけたが、停電では無いと言われ…

全盲となった祖父

それから、一週間後、三歳の末孫の「まき子」が病室に入るなり、「じっちゃいた」と喜び、祖父の膝の中で眠ったそうだ。

「一義はあんなにかわいがったのに、見舞いに来ても、店に行きたいことだけで、何しに来たのかわからない。まき子は私の膝の上で、安心して眠ったので、めんこいかったな」と何度も語り、その言葉に私は、少なからずショックであった。

このことによって私が、祖父から疎まれたわけではない。

その後も、祖父に最も愛されて育ったと思う。

しかし、祖父が覚悟はしていたものの、一条の光も届かない、盲目となった瞬間の絶望と、悲しみを感じ取ってやれなかった、自分の幼稚さを、今も後悔している。

あの時、盲目になった祖父は、幼い私の頭や、頬や、体全体の感触を触手で感じたかったはずで、それは、末孫のまき子によってかなえられた束の間の、幸せを祖父に与えた瞬間だったと思っている。