翌日は早めに起きた。予定ではここを十三時三十分に出れば、十分間に合う。
都内のホテルと違い、ここはチェックアウトの時間も決まっていないため、朝風呂に浸かり、身体を労った。
風呂に浸かりながら、ふと思い出したことがあった。谷岡先生が言っていた白ヶ丘のことだ。
彼はそっちの方に遥香の家があるというような言い方をしていたが、それは僕の勘違いかもしれないと思ったのだ。
もっと別の、たとえば家ではなく、遥香が通っている学校や職場があるという意味だったのではないか、ということだ。
その証拠に、僕が明確に「遥香の家はこっちだと思う」と言い、谷岡先生が指したのとは逆方向を指すと、彼は「軽く家に行くってことか」と言った。
間違いなく、谷岡先生は僕が指差した方向に遥香の家があることを知っていた。それでいて、あえて僕が進む方向とは逆方向を指差したのだ。
次回更新は3月31日(火)、11時の予定です。
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