【前回記事を読む】突然「君の奥さんは霞のような人だね」と言われたが、意味がよくわからなかった…驚いて理由を聞くのを忘れてしまった
第二章 研究のはじまり
三、「郡上・地名を考える会」と小字地名
前節でも少し触れましたが、「郡上・地名を考える会」では地名を守る活動のほか、郡上市各地の地名探訪や研究発表の実施と併せて、小字地名研究を主要テーマに掲げてきました。
当時会員だった池田勇次氏が美並村の小字地名を幅広く研究されていましたが、その他の町村ではほとんど手が付けられていませんでした。数名のメンバーで意気込んで始めましたが、それぞれ働き盛りで仕事に追われて、会合を持つのもままなりませんでした。
私自身も思いもかけず八幡町の議員を務める羽目になり、一〇年余り研究から遠ざかっていました。その後、会の再起を促して、小字研究に取り組みやすい環境を作るために、郡上市全体の小字地名データベースを作成することになり、言い出しっぺで比較的パソコンの扱いに慣れている私が主になって始めました。
市役所の各支所を回って字絵図を収集しましたが、これから一つ一つ投入していてはいつ終わるかわかりません。最終目標は岐阜県全域のデータベースの作成です。
幸いにも『角川地名大辞典』岐阜県版に県内すべての小字地名が掲載されていることが判明し、それを参考にしてまず郡上市の投入にかかりました。
エクセルデータを作成するのですが、手持ちの入出力装置、アプリケーションを使うフロー図に従って開始したところ、全くうまく行きません。
まずスキャナーで一ページ分を画像化して、次にOCR(光学的文字認識)で読み取ってテキスト文に変換するのですが、どう調整しても一〇~二〇パーセントの文字誤変換が発生してしまうのです。とりあえず郡上市については一つ一つ修正してcsv(カンマ区切りの単語)に変換してエクセルに流し込むこととしました。
こうして約四五〇〇の小字地名のデータベース作成が完了しました。私はエクセルデータをさらにファイルメーカーというデータベースソフトに変換して、試しに山・谷・田・洞・平(ヒラ)等比較的多い小字を検索してみると、どの地域にどんな小字が多いのか一目瞭然でありました。
特に驚いたのは洞・田・平についで四番目に多いのがカイト(郡上市ではカイツ)であったことです。上位十地名のうち意味のわからないのは「洞・ホラ」地名とカイト地名のみでありました。この結果を受けて私は洞地名を調査し、ほぼ判明したあとはカイト地名の調査を始めたのです。
こんなに多く(約二〇〇ヶ所)あるのですからそんなにむつかしくはないだろうと高をくくっていたのですが、どうも一筋縄では行かないことが徐々に判明しました。