【前回記事を読む】世界的にも稀有な文明が日本には存在していた。周囲が海で、他民族の進入や伝染病が少なかったという幸運な条件に恵まれることで…
第三章 郡上市のカイト地名と縄文遺跡
一、郡上市のカイト地名と縄文遺跡の分布
私がカイト地名研究の前途にようやくかすかな灯りを見つけたのは、以前作成した郡上市八幡町の縄文遺跡の分布図に、新たに発見した一ヶ所を追加していた時です。
「分布図」で索引すると多くの項目が出てきましたが、「八幡町那比のカイト地名分布図」を見た瞬間に、まさか、と驚くと同時に期待に胸が高鳴りました。
前にも触れましたが私の住んでいる郡上市八幡町那比地区にあるカイト地名一一ヶ所はすべて四ヶ所の縄文遺跡の中か、ごく近い周辺にあったのです。どういうことなのか咄嗟には見当がつきませんでした。
「カイト地名と縄文遺跡は何か関係があるのであろうか」
「カイトはもしかして縄文時代の地名であろうか」
そんな疑問が頭の中をぐるぐる回り始めました。取り付く島の無かったカイト研究の突破口になるかもしれない――そんな期待が頭をもたげたのです。
もう少し多くのサンプルを収集する必要があると思い、「郡上市縄文遺跡の分布図」と「郡上市カイト地名の分布図」を合わせた分布図を作成することにしました。
まず郡上市全体の大字ごとの縄文遺跡の分布図を作成しました。資料は奈良文化財研究所の遺跡データベース、郡上市の旧各町村史等である。
その分布図に先般作成済みの郡上市小字地名データベースにより抽出した約二〇〇ヶ所のカイト地名分布を重ねてみると、ほぼ那比地区と同様の結果が得られました。
“ほぼ”という理由は、縄文遺跡はあるが付近にカイト地名が無い地区、その反対に縄文遺跡が無いのにカイト地名がある地区がそれぞれ二〇パーセント前後あったからです。
こうなると私の探求心は止まらない。近いところからしらみつぶしに周辺の小字地名の調査、グーグルアース等による地形の調査、それに基づく現地踏査を行い、まずカイト地名があるのに縄文遺跡が無い地区を踏査しました。
その結果、いとも簡単に縄文遺跡を三ヶ所ほど発見したのです。以下はその発見例の記録です。
二、カイト地名と縄文遺跡の分布調査
(一)カイト地名はあるが、縄文遺跡が無い地区
郡上市八幡町亀尾島向・荒倉地区
この地区には白山神社を中心にカイト地名が四ヶ所と矢田・桜田・桜畑・的場など縄文時代と密接な関係のある地名が集中しているし、地形的にも縄文遺跡がある条件がそろっており、確実に縄文遺跡があると目星をつけ、調査対象にしました。
亀尾島向地区に住む知人に問い合わせてみましたが、聞いたことも無いし知らないという返事でした。
盆休みで帰郷していた次男に話したところ、今から現地調査しようということになり、中一の孫娘(長男の子)と三人で調査に出かけました。