【前回の記事を読む】【チェーン店舗の本部業務の実態】チェーンストアにおける業務指示の見えにくいコストと、戦略的投資としての重要性とは?
第1章 業務指示はコストであり、戦略的手段である
業務指示に潜む"見えにくいコスト"とは
人的時間コスト
~問い合わせとその対応にかかる時間~
業務指示の運用では、店舗から本部への問い合わせも日常的に発生しており、双方に対応の手間がかかります。たとえば、週に10件程度の電話問い合わせがあり、1件あたり本部・店舗それぞれに平均10分の時間がかかっているとします。
〈問い合わせの対応時間〉
1件あたりの対応時間:10分
年間(52週)の対応件数:52週×10分=520分
週に10件の問い合わせ対応がある場合:520分×10件=5200分(≒87時間)
のように、問い合わせ対応だけで、本部側、店舗の双方に年間87時間=合計174時間が費やされていることになります。
これを本部平均時給の金額に換算すると、約15万6600円、店舗は約11万3100円、合計約26万9700円に相当します。
~手戻りによる追加の作業時間~
指示が不明確な場合、現場では作業のやり直しなど余計な手間(=手戻り)が発生することがあります。
たとえば、ある店舗で毎週15分の手戻りが2回発生し、それぞれにスタッフ2名が対応しているとすると、1店舗で発生する追加の作業時間は以下のとおりです。
〈手戻りによる追加の作業時間〉
1週間あたりの手戻り時間:15分 ×2件×2名×50店舗=3000分年間(52週):3000分×52週=15万6000分(=2600時間)
このように、不明確な指示によって、全国の店舗で年間2600時間もの工数が余計に使われている計算になります。
これを店舗平均時給の金額に換算すると、約338万円に相当します。
手戻りによって発生する余計な工数は、店舗の本来の業務を圧迫し、売上の低下を招く要因にもなります。また、スタッフのストレスやモチベーション低下といった〝見えにくい影響〞にもつながるため、これもまた、見過ごせないコストの一つです。