「俺は、従妹のM子と関係し、子どもをもうけていた。そのことを、ずっとお前に隠していた」
「……」
「M子は妊娠したが、自動車事故で、腹の子とともに亡くなった」
声を絞り出すような演技をした。
「妻として頑張っているお前に、そのことを正直に打ち明けなかった。本当に申し訳ない」
先程より深く土下座をした。
「もう、いい。椅子に戻って」
妻は、怒るのではなく、笑っていた。
「許してくれるのか」
拍子抜けがした。こんなに簡単に許されるとは。いや、妻は、そんなに甘くない。
彼女は、少し黙っていたが、
「許すも、許さないも……」
と言い、そこで一呼吸置いた。
「私、知っていたのだから」
彼女は得意そうな顔になった。
俺は、唖然とするだけ。
「あなたとM子さんとの関係は、親戚の人から聞いたわ」
「そうだったのか」
「でもね、それは、私との結婚の前のことでしょう。私が怒り狂うのは、おかしい。でも、ちょっぴり、嫉妬した。腹が立った」
大きな声が響いた。
俺は、身を縮めた。