【前回の記事を読む】「えっ。おじちゃんは、パパなの?」生きていれば青年のはずなのに、目の前にいるのは幼い少年だった
あの世で、君と結ばれる
「あなたは、多分、彼女と結婚していたでしょうね。だって、あなたは彼女とアレをして、N雄ちゃんを身籠らせたのだもの。妊娠させた責任を、きちんととらないと……」
「それは、そうだが、俺はやはりお前と結婚したのではないかな。従兄妹同士は、結婚してはいけない、ということは忘れていない」
「おかしな子が出来るというのでしょう。でも、N雄ちゃんは、ちゃんとした子どもだったじゃないの。法律で認められているのだし、従兄妹同士で結婚している人は大勢いるわ」
「それ、昔、俺が言った台詞だな。でも、俺は、お前と結婚して良かったと思っている」
心の中は、少し違っていた。M子への思いは、小さな残り火だが、消えてはいなかった。
「それは、長く寄り添っている既成事実があるからでしょう。M子さんが生きていたら、そんな既成事実も成立しなかった。それに、もしM子さんと妻の座を争うとしたら、先の話のように、彼女に譲っていたと思うわ」
「そうなった場合、俺はお前を選ぶと思う。結婚は、やってみないとわからない。お前のおかげで、幸せな生活を過ごせている。正解だった。もし、M子と結婚していたら、これ以上の幸せがもたらされるとは思えない」
「ありがとう。お世辞、お上手ね。≪結婚は、やってみないとわからない≫と言ったよね。私は、逆に、今以上に、幸せになれると思うよ。だって、初恋の人と結ばれるのだから」
その夜、M子の夢を見た。
はるか昔の、彼女の結婚式のシーンだった。
俺は出席していないのに、神主の前に立っている二人の後ろ姿を見ていた。だが、驚いたことに、こちらを向いた新郎は、俺だった。
しかも、現在の、若くない俺の姿であった。
夜になって、初夜の営みが始まっていた。裸にされたM子が抵抗している。まるで、暴漢に犯されているようだった。暴漢は、驚いたことに、俺だった。現在の、若くない俺の姿であった。泣き叫ぶ彼女に、卑しい笑いを浮かべながら、のしかかろうとしている。
シーンが変わって、若いM子が義父母から叱られている。声が聞こえないから、何を叱られているのかは、わからない。驚いたことに、義父は、俺だった。現在の、若くない俺の姿であった。そして、義母は、妻だった。
又、シーンが変わって、居間でM子が夫に向かって激しく怒っている。声が聞こえないから、何を叱られているのかは、わからない。しょんぼりしている夫は、驚いたことに、俺だった。年老いて、日々の生活に疲れ果てた、みじめな姿であった。
シーンがコロコロと変わったが、短い夢だった。何か後味の良くない夢であった。