ゾミ君も興味深い話を聞かせてくれた。

「昼間私は、ゾミ族が日本兵の遺骨収集に協力してきたことを言いました。日本人の皆さんが昔の日本の兵隊さんの遺骨や遺品を探しに来るようになったのは、最近のことです。昔は日本人がここまで来られなかった。ゾミ族は頼まれなくても日本の兵隊さんの骨を集めてお祈りもしました」

「それは本当に感謝しなければ。日本人の一人として御礼を言いたい」

「開放路線になる前の軍事政権下では何をするにも難しかったので、厚生労働省がビルマ戦線の遺骨収集を始めたのは最近のことらしいですしね。以前から遺骨収集活動をされている有名な日本人もいるけど」

「井戸さんですよね。本も書かれていますね。井戸さんには尊敬の念しかない」

「ゾミ族は貧しいです。そして、日本の兵隊さんの遺骨には、頭の骨が見つからないことがあります」

「それはどういうこと?」

「日本の兵隊さんの顎の骨から金歯を抜いて、その後は砕いて河に流してしまう。そういう人がいたのだと思います」

もし僕の父や祖父がビルマ戦線で命を落とし、白骨街道にその遺骨が晒されていたとしたら、僕はなんとしても遺骨を探し出して供養したいと考えるはず。

ただ、それが何らかの理由でできなかったとしたら。

自分たちができないことを現地の人が代わりに骨を集めて供養してくれていたとしたら。僕はきっと供養の費用を喜んで支払うだろう。

この遺骨から金歯を抜いたという話が、近年やっと日本政府が動いてビルマ戦線の犠牲者の遺骨収集活動ができるようになった流れに水を差すことになってはならない。

僕はそう思わずにはいられなかった。

 

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