僕たちはその日はホテルに帰り、翌日、車を借りてさらに国境の方向へ行ってみた。
カレーミヨから西へ向かう道路はわりとしっかりしていた。道中美しいパゴダも見かけた。
やがて車は、険しい山道を登り始めた。七曲りの坂道を左右に揺られながら登っていくと、採掘現場のような土壁だけの小高い場所で車は停まった。
この先は、車の通れる道ではないという。車を降りてその先を見渡すと、険しいアラカン山脈の山肌、深い谷が見えた。舗装されていない道はそこで終わっていて、その先は建設中だった。
ここからどうするか、僕たちは話し合った。ゾミ君はこの場所から六百キロ離れた村からバイクでやって来ていた。四輪では通れない道も二輪なら通ることができるのだという。
この道なき道の先にはおそらくたくさんの人骨が眠る夥しい数の霊魂が浮遊する道があるに違いない。
僕は今の自分にはその道を歩く準備ができていないと感じた。もちろんこの先を車で行ける道はあるはずだったが、それを見つけて進むには数週間以上滞在する必要があった。
結局、月末までにヤンゴンに戻らなければならない僕たちは、今回はここまでとするしかなかった。
少し落ち込んでいた僕たちを案じてくれたのか、ゾミ君は「明日、ゾミ族の祭りがあるので一緒に参加しないか」と誘ってくれた。僕たちは喜んで招待を受けることを決め、その夜は近くの宿に泊まっていろいろな話をした。