「はい、その通りです。信じられないかもしれませんが、私には予知能力があります。だから占いをした時にお三方の死期がはっきりと見えてしまったのです。したがって私は決してお三方を殺してなどいません。そもそも私が彼らを殺すのは不可能です」

「崇夫氏が亡くなった時は部屋に内鍵が掛かっていたし、そもそも彼は病院で病死と診断されている。それに直美さんと剛さんが死亡した時にはあなたはこの家にいなかった。完全なアリバイというやつですね。しかし、誰かと共犯という可能性は残るんじゃないかな。どうですか?」

華怜はやや動揺した様子を見せた。

「さあ。私には何のことだか。お三方を殺してまで得るものなど私には何一つありません。そんなに私の力をお信じになれないのなら、ここで私の真の力をお見せしましょうか?」

貴子がぎょっとした表情で言った。

「ふざけんじゃないわよ! もう3人も死んだっていうのに、こんな時に占いですって? あんた、一体何人殺せば気が済むのよ!」

「非常に興味深いですね。ぜひお願いします」

鍬下が笑みを浮かべて言った。

「ちょっと、あんた!」

「承知しました」

華怜はおもむろに踵を返すと再び棺の上にタロットカードをスプレッドし、一枚のカードをめくり、皆に見せ、堂々と宣言した。

「審判、逆位置。いよいよ最後の審判が下ります。貴子さん、あなたは本日午前10時55分にお亡くなりになります」

全員驚きのあまり、魂が抜かれたようになった。特に貴子の狼狽ぶりは目も当てられぬ始末だった。

「あんた、何言ってんのよ。10時55分って、あと8分しかないじゃないのよ。私があと8分で死ぬ? ふざけんじゃないわよ! あと8分なんかで死んでたまるもんですか。ねえ、何とか言いなさいよ!」

「残念ながらそれがあなたの運命です。もう変えようがありません」

恐怖で小刻みに震える哀れな貴婦人を華怜は冷酷な瞳で見下した。

「ちょっと、あんたたち、なにぼーっと見てるのよ。この頭のおかしい殺人鬼を早く捕まえなさいよ。私が死んでもいいっていうの!」

しかし皆、刑事たちまでもが、何かの魔法にでもかかったかのように言葉を失って目の前の奇妙な出来事をただ見守るばかりであった。麻利衣がやっと口を開いた。

「あの、貴子さん、もし高額な報酬をお支払いになるのであれば、うちの河原賽子があなたを守ってくれると思いますが、どうしますか?」

貴子は猿のような瞳に涙を浮かべて麻利衣と賽子をかわるがわる見た。

「払う。払うわよ。命が助かるのなら1000万でも2000万でも払ってやるわよ」

「5000万だ」

賽子が冷然と言い放った。

次回更新は2月9日(月)、21時の予定です。

 

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