【前回の記事を読む】夫を心筋梗塞で亡くしたその日、『どうか冷静にお聞きください』と聞かされた我が子の余命…まだ若くて元気だと思っていたのに…
サイコ2――死の予言者
「もういい! こんなインチキ占い師の言うことなんか真に受ける必要なんてないわ。昨夜、主人があなたのことはクビにしたはずよ。何でいつまでものうのうとこの家に留まっているのかしら。さっさと出て行きなさい!」
華怜は一度静かに目を閉じてから言った。
「明日の出棺まで旦那様のお傍に付き添いたかったのですが残念です。それでは私はお暇します」
華怜は貴子らの間をすり抜けて玄関に向かったが一度立ち止まり姉弟に言った。
「残念ですが運命は変えられません。残されたわずかな時間を人生最後の時と思って大事にお使いください」
その後もひとみは一日中棺の前でずっと涙に暮れていた。千晶が隣に座って彼女の肩を抱いた。
「ひとみ、もうそろそろ部屋で休んだら? ひとみまで体を壊したらしょうがないよ」
「ありがとう」
「私たちも明日の出棺まで付き添うから」
「でも月曜日は仕事じゃないの?」
「もう休みを入れたから。今のあなたをほっとけないし」
「麻利衣さんたちも?」
「うん。まあ、賽子さんは予言のことが気になっているんだと思うけど」
「華怜の予言、本当に当たると思う?」
ひとみが青白い顔で訊ねた。
「さあ。でも賽子さんは予知能力は本当にあるって言ってたのよね。私、賽子さんの言うことなら信じるわ。鍵だって手で触れるだけで開けてたし」
「不思議な人。あの方があんな不吉な予言なんて吹き飛ばしてくれたらいいのに」
「でも、貴子さんも、あの姉弟もあなたのことずっといじめてきたんじゃないの?」
「そうだけど、でも死んでもいいなんて思わない。何事もなく明日が迎えられるように祈ってるの」
「ひとみ……」
千晶は純真な彼女の涙を見つめていた。
その後、麻利衣と千晶は部屋で休んでいたが、賽子は散歩に出てしまって姿を見せなかった。しかし日が暮れると、足立と家政婦がエントランスのロビーに夕食を用意したので全員が再びそこに集まった。貴子ら三人は皆暗澹とした表情で食事もろくに進まなかった。
「お義母様、ご気分は大丈夫ですか?」
ひとみが気遣って声をかけた。
「大丈夫なわけないじゃない。嘘だとは分かっていても子供達が2人とも0時に死ぬって言われたのよ。こっちの身にもなってみなさいよ」
直美がナイフとフォークを皿の上にガシャンと落とし、両手で耳を塞ぎ、泣きべそをかいた。
「もう言わないでよ。そんな話聞きたくない」