特に、音読は以下の点でクラッシェンの理論と一致しています:
(1)理解可能なインプットを強化する:
音読は、テキストの内容を「意味を伴って」読むことを求めるため、学習者は英語を単なる「音」ではなく、意味のある「メッセージ」として捉えることができます。
(2)文法や発音への過度の指摘を避ける:
音読の目的は、言語の「流暢さ(Fluency)」を高めることにあり、正確性(Accuracy)を重視しすぎない点で、学習者にとって心理的な負担が少ない学習法です。
このように、音読はクラッシェンが提唱する「理解可能なインプット」の一形態として見なすことができ、2000年代前半に音読が教育現場で積極的に取り入れられた背景には、クラッシェンの理論が少なからず影響していると考えられます。
アウトプット重視の時代への橋渡し
クラッシェンの理論では、言語習得の最初の段階では理解可能なインプットが最も重要であるとされ、学習者が「インプットの蓄積」を十分に行った後に、自然にアウトプット(話す・書く)が現れるとされています。
しかし、日本の英語教育は2000年代後半になるとアウトプット活動にシフトし始めました。
この変化は、学習者がインプットに偏りすぎたことで、実際に自分の言葉で話す力や書く力が伸びにくいという反省から生じたものです。
クラッシェンの理論が「インプット偏重」として批判されることもありましたが、実際には「インプットがアウトプットを支える基盤である」ことを強調しています。
2000年代後半以降、日本の英語教育では、インプットをしっかりと行った上で、徐々にアウトプットを強化する活動(プレゼンテーションやディスカッション)へと移行することが求められるようになりました。