【前回記事を読む】繰り返しと対話で身につく、自然な英語——Oral Approachの魅力

第一部 英語教育 30年の変遷

第2章 「訳して読んで」音読重視の2000年代前半

第3節│高知西高校から始まった「和訳先渡し方式」とは

2000年代初頭から高知西高校(現高知国際高校)で盛んに行われた「和訳先渡し方式」は、英語教育において独特な授業スタイルであり、日本語の和訳を事前に生徒に渡すことで、英文を読む際の理解を助ける方法です。

この方式では、まず生徒がテキストの英語部分を読む前に、その内容の日本語訳を先に確認します。和訳を事前に与えることで、生徒は英文を読む際に意味を把握しやすくなり、語彙や文法の理解に集中できるようになります。

これにより、生徒が英語を読み進める上での負担が軽減され、スムーズに音読などの言語活動に取り組むことができるようになるのです。

この方式が果たした大きな役割の一つは、学習のハードルを下げ、英語学習の初期段階での挫折を減らすことにあります。多くの生徒にとって、英語の長文を読む際に、単語の意味や文法構造に悩み、全体の意味が分からなくなることがしばしばあります。

しかし、和訳を事前に知っていることで、生徒は英文を読みながら内容を理解できるため、英語への抵抗感を軽減し、読解の自信を深めることができました。

このプロセスは、特に英語に不慣れな生徒にとって効果的であり、学習のモチベーションを維持する手段として機能しました。