「それって、足が感じなくても、脳が感じればいいの?」アッちゃんがピンチョスのピックで、自分の手のひらをつついてみる。
シュウトくんとクマくんが顔を合わせる。
「ブレイン・コンピューター・インターフェース」「物理演算エンジン」
「ごめん、大工のおれには、話が見えない」
「すいません。脳とコンピューターを直結して、考えたり感じたりすることを同期する技術が開発されているんです。それからゲームの世界では、重力っていうか、アイテムに質量やスピード、摩擦なんかを演算するソフトウェアが使われています」
「できるんだ」
「まだ技術が足りないように思います。でも、YOさん。こういう場をつくっておくと、技術のほうから寄ってくることがあるんです。アバターがクツを脱いで、畳を肌で感じることも、きっと」
「医療の技術とか、応用できるかもしれない」ジョージもイマジネーションをひろげる。
「YOさん、僕はこういう時間が最高に楽しいです。ありがとうございます」
僕は、コンピューターがちょっと好きな、ただの不登校児だった。ちゃんと受験勉強もできていない。
でも、ネットをいじっていたら、そこに同じようなひとたちがいた。僕らは、こんなことができたら面白いよねってバカを言っているうちに、似たような感覚を持っているひとや、僕らよりもっと深く考えているひとと、また知り合いになって……じゃあ一緒にやろうよって、はじまる。
ずっと、その繰り返しなんだ。やりたいことが、いつも外から膨らんできて、さらに面白くなっていく。あらかじめ与えられた課題もなければ、マニュアルもない。だから、楽しい。仕事って、そういうもんでしょう?
次回更新は2月11日(水)、11時の予定です。
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