【前回の記事を読む】同級生を妊娠させてしまい、理不尽に彼女と引き離されてから人と関わらなくなった。しかしある女子がカフェに誘ってきて…
第二章
待つのは面倒なので、僕はアイスコーヒーを注文した。
二人で席を見つけて座る。
「たまにはこういう息抜きも大事だよね」
「そうだね」
毎日息抜きしていそうなのに、よく言う。
「優くんはカフェあんまり行かないって言ってたね」
「そうだね。行かないかな」
「じゃあ、きっと楽しいと思うよ! あ! こんな世界があったんだ!ってなるよ」
「そうなんだ。じゃあ楽しみだ」
「ほら、見てみて! 内装も可愛くない?」
「本当だね」
目を輝かせながら撮影をする前園さんに、次第に申し訳なさが込み上げてくる。
ふざけているわけでも、ふてくされているわけでもなく、僕には本当にこういう返ししかできないのだ。コミュニケーションも日々の鍛錬であるとよくわかる。
高校生の頃の僕なら一緒に心から楽しめただろうに、最近の僕は人と関係を持たなくなったせいで、圧倒的に会話が不足している。ゆえに面白い返しもできないのだ。
前園さんが一通り写真を撮り終わったところで、注文したアイスコーヒーと横文字だらけのよくわからないやつが届く。
うわぁ!と、喉をどう使ったら出るんだろうと思える声を上げると、前園さんはまたもパシャパシャと写真を撮影する。これは待っていた方がいいんだろうか。
ようやく落ち着いた前園さんとドリンクに手を伸ばす。
「美味しくない?」
「そうだね」
正確には二人が飲んでいるドリンクは異なるわけだから、「美味しくない?」という日本語の使い方は正しくない。仮に正しかったとしても、正直にいうと美味しくはない。このアイスコーヒーは酸味が強く、あまり僕の舌には合っていない。
「優くん、自己分析した?」
「あ、うん。一応」
「やっぱりね!」
「どうしてわかったの?」
前園さんは、よく聞いてくれましたと言わんばかりの表情を見せる。
「だって様子が変だもん」
「え、そう?」
「うん! なにか掴めた?」
「うーん。わからない」
わからないということもないが、彼女にはあまり多くを話したくない。