「それじゃ、今から大事な話をしようと思う。悪いけど、千晶さんたちは部屋に戻ってくれるかな」
するとひとみがすかさず言った。
「お父様、この方たちは私の大事な友人で、信用できる方たちです。外に漏らすなどということは絶対にしません。なので、この方たちも一緒に同席させてほしいんです」
「はあ? 何で小佐々家の大事な話にどこの馬の骨とも分からないような他人を参加させようって言うの? 非常識にも程があるでしょ」
貴子が大声で不服を述べた。崇夫はひとみの眼をじっと見つめていたが、遂にこう言った。
「分かった。君がそこまで彼女たちを信じているのなら私も信じよう。ぜひ私の話の証人になってもらいたい」
崇夫はもう一度全員を見渡してから言った。
「私が以前から心臓を悪くしているのは知っているだろう。一度は急性心筋梗塞で生死の境をさまよった。それから何度もステントを入れたり、冠動脈バイパス手術を繰り返してきた。
だが、先日主治医からバイパスした血管が再び閉塞しかかっていると伝えられ、再手術しなければ命はないと伝えられた。しかし私は疲れてしまった。もうこれ以上手術は受けたくないんだ。
不安になった私は、知り合いのつてでとてもよく当たる占い師を紹介してもらった。それが島木華怜さんだ。試しに彼女にいくつか占ってもらったが、これがことごとく的中して今のところ的中率百パーセントだ。
彼女は占い師というより予知能力者だとさえ言っている。そこで彼女に頼み込んでここに住み込みで専属の占い師になってもらったというわけだ。
そして彼女に再手術がうまくいくかどうか占ってもらった。
すると結果は散々なものだった。手術に踏み切れば必ず失敗し、術中死かもしくは脳梗塞を発症し、意識は戻らないだろうという結果だった。だから私は手術はしないという決断をした。同時に私の寿命もあと一年ほどだろうという予知も告げられた。
それで私は彼女の勧めにより終活、つまり遺産整理を始めた。売却できるものはできるだけ売却して現金化している。そして私の遺産の全てを……」
その場の全員が息を呑んだ。
「娘のひとみに相続させる」
皆の驚きの視線がひとみに集中した。彼女は驚きのあまり顔を強張らせていた。
次回更新は1月31日(土)、21時の予定です。