【前回記事を読む】丸裸で眠っていた赤ちゃん。抱き上げると目を覚まし、何か臭い、温かいものを顔にかけてきて…

第1章 光の神が創った世界

2―4 ソフィアに仕える女神リリス

陽が昇るとミカエルは改めてソフィアの寝室を訪れ、ドアを叩いた。

扉が開くや部屋に割って入り、椅子に座ってうなだれているルシフェルに声を荒げて言った。

「兄さん、いったいどういうことですか?」

 鏡の前で髪をとかしていたソフィアがその声に驚き振り返った。

「ミカエル様、何をそんなに怒っておられるのです?」

ソフィアには目もくれず、ミカエルはルシフェルを睨みつけた。

ルシフェルはふらつきながら立ち上がると、ミカエルを強く抱きしめた。

「ミカエルか! おお、我が弟よ! 祝いの宴を開いてくれないか」

ミカエルはルシフェルの言葉の意味が理解できず、拍子抜けしてしまった。

「私はソフィアを妃として、この宮殿の主となる。もちろん神の御言葉を守り、使命は果たす」

ミカエルはルシフェルの言葉に耳を疑い、首をかしげた。

その時、異様な匂いがミカエルの鼻を刺激した。ルシフェルの身体から出ているようだ。

慌ててルシフェルをはねのけ、辺りを見回した。寝室の入り口に大量の果実酒の空き瓶があるのが目に入った。ミカエルは仰天して言った。

「兄さん! 僕が誰だか本当にわかっていますか?」

ルシフェルはフラフラしながら再びミカエルに抱きついた。

「何を言っているのだ! そなたは我が最愛なる弟のミカエルじゃないか。ハッハッハ」

ルシフェルは泥酔していた。

きらびやかな衣装に着替えたソフィアがルシフェルを促してベッドに寝かせた。ルシフェルを愛おしげに見つめるソフィアの目が急に険しくなると、ミカエルに向けられた。

「ミカエル様、ルシフェル様が仰せられた通り、私はルシフェル様の妃になり生涯仕えます。どうか祝福を」

ミカエルは腑に落ちなかった。

「ソフィア、そなたは何が目的なのだ?」

ソフィアは目をそらし、窓の向こうの海を見ながら言った。

「何もございません。私はルシフェル様と恋に落ちただけ。この美しい地球でルシフェル様とひっそりと暮らしたいだけでございます」

「ルシフェルが酔いから覚め正気な時に話を聞く。それまでは婚礼の宴はせぬ」

ミカエルはソフィアの目を睨みつけて言い放ち、寝室から出た。ソフィアの胸には熱いものが込みあげていた。