【前回記事を読む】その時、静かな宮殿に叫び声が響き渡った。慌てて見に行くと、声の主は腕に抱かれていて…

第1章 光の神が創った世界

2―5 ソフィアとは何者?

ヤハウェは宮殿の外れの小さな入り江にアダムとイヴを連れてきた。そこからは美しい海が一望できた。アダムとイヴはまだ怯えていた。

「アダム! イヴ! 何も案ずることはないぞ」そう言ってヤハウェは二人の手を取って海に連れていった。波打ち際を歩いていると足元を蟹が横切った。

アダムとイヴは初めて見る動くものに夢中になり追いかけた。楽しさが恐怖に勝ったのか、二人に笑顔が戻っていた。

二人のあどけない姿を見て安堵したヤハウェは胸を撫で下ろし、美しく広がる海を眺めた。そこにミカエルの姿があった。

ミカエルは浜辺に立って海を眺め立ちつくしている。手には果実酒の入ったクリスタルのグラスが握られ、何やらぶつぶつ呟いている。

ミカエルは天を仰ぎ、涙を流しながら懇願していた。

「神よ! 我が兄ルシフェルは女神ソフィアに身も心も支配されつつあります! 神よ! これもあなたが創造された地球の仕組みの一つなのですか?」

ミカエルは果実酒を一気に飲み干すとグラスを握りつぶした。砕かれたグラスの破片が砂浜の上で輝いた。

それを見ていたヤハウェが声をかけると、ミカエルは驚いて振り向いた。

その目には嬉しそうに蟹取りをしているアダムとイヴの姿が映った。

「ミカエル、私はあのソフィアが怖い。ルシフェルも酔いがさめて我らが聞いた神の御言葉を思い出し、あのアダムとイヴを見れば、神の壮大なる仕組みをきっと受け入れることができるでしょう。そうすればソフィアからも離れるはずです」

アダムとイヴが蟹を持って戻ってきた。

ミカエルは腰を屈め、アダムとイヴを抱きしめた。

「我らのように早く大きくなれ」強く打つ鼓動を感じ未来を見た。

「そなたたちの使命、我らが導こう。神の名にかけて」

ヤハウェはミカエルの横に腰を下ろし、アダムとイヴを膝に座らせて、昨夜ガブリエルやラジエルから聞いた話をし始めた。

ミカエルはヤハウェの話を聞き終えると大きく頷いた。

「ソフィアとはいったい何者なのだ? わからぬことばかりだ!」