父と母は、まるで僕が遥香に危害を加えた犯罪者みたいにただひたすら謝っている。違うだろう。僕はもっと遥香を自慢したい。子供を授かったというのは、僕と遥香が紛れもなく純粋な愛を育んでいた証ではないか。それなのに、どうして……。どうして、それがわからない?
心の中に芽生えた、たしかで揺るぎない想いを、臆病な僕は言葉にできないまま、頭を床に擦り付けた。
遥香の両親は涙ながらに叱責して、家を出ていった。子供はおろすのだという。僕らはその間、ただひたすらに謝り続けた。父も母も声が枯れてしまうくらいに、何度も何度も大声で謝り続けた。僕はずっと疑問を持ちながら、それでも謝り続けた。
遥香とは一言も話せなかった。最後まで俯いたままだった。少しだけでも話したかった。きっと遥香も同じ気持ちでいるはずだから。この想いを共有したかった。
それができれば、両親になにか言えたかもしれない。一人では恐怖で立ち向かえなかったけれど、遥香がいれば、僕は動き出せたのではないかと思う。
遥香と遥香の両親が帰宅すると、また雨音だけが聞こえる静かな部屋に戻った。でも、先ほどまでとは違う。ただでさえ陽が出ていない今日、普段のこの天気と時間帯なら確実に電気を点けていたはずなのに、遥香たちがいてそんなこともできなかった。暗くて重くて苦しい空気が漂っていた。
「お前、どういうつもりなんだ?」
ダイニングに置かれた椅子に腰掛けた父は低い声を出した。そこに怒りが含まれていることを、家族の僕がわからないわけがない。
「一から話せ。今すぐ。ここで!」
臆病な僕にそれを拒否する術はない。父と向かい合うようにして座った。母も父の隣の椅子に腰掛ける。
次回更新は1月20日(火)、11時の予定です。
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