幸せを呼ぶ鳥
安曇野にコウノトリが飛来した。
コウノトリといえば、ヨーロッパでは赤ちゃんを運んでくる鳥といわれる。が、じつはドイツの国鳥でもあるコウノトリ科のシュバシコウが伝説の生みの親らしい。コウノトリは定住性があるがシュバシコウは渡り鳥だからという。
大型の鳥、白鷺(しらさぎ)や青鷺(あおさぎ)、鶴なども、日本では幸運の担い手として珍重される。松本市内でも、川の流れの中に佇む白い鳥を目にすることがある。目線は川底に生息する魚に釘付けのまま、微動だにせずそっと片足をもたげる。
その一本足で立つ姿には、凛とした美しさがある。幸せを呼ぶ鳥としては、「不苦労」とか「福籠」と字を当てが、梟(ふくろう)が縁起のよい鳥とされる。いつかギリシャだったかどこか海外旅行のお土産で、カラフルなフクロウをもらった覚えがある。
どうして鳥が幸福をもたらすと考えるのか定説はないが、大空高く飛翔する姿に人間が大きな夢を託すのかもしれない。夢を追って幸福探しの旅に出たものの、見つけられずに帰宅したら、家の鳥かごの中の青い鳥こそが幸せをもたらす鳥だった。これはベルギー人のメーテルリンク作のチルチルとミチルの劇作。このモデルはキジバトだという。
どこにでもいる鳥こそ、じつは幸せをもたらしてくれる。考え方、視点を変えたら、何気ないところに大きな幸運が潜んでいるのかもしれない。
(二〇〇九・十二)