津村: そうですね。私も、奇跡の命を基準として、生きがいなどを構築しようとしても、虐殺のある世界など、どうしても命を大事にしない世界でどのように指針を示すか、まだまとまっていないのが正直なところです。
そういう状況下においても、互いにその奇跡的な命に敬意を払うような生き方が、私の考える生き方です。武士道(参考図書1)に近い考え方になります。
奇跡の命を基準としても、なかなか答えは出ないのですが、私は奇跡の命を基準として、この件に関して考え続けたいと思います。
学生: 私も考えたいと思います。どうしても日本では他人事感がありますが。
津村: でも、それは他人事ではないのです。平和な国において、虐殺による大量殺人という観点では、他人事感がありますが、人と人の間には、どうしても能力などの特性が異なり、能力の高いものが能力の低いものに対してマウントを取ったり、嫉妬などから陰で嫌がらせをしたりするなど、さまざまな人間模様があります。
テレビドラマなどではそういったことは顕著に描かれています。直接的には生死にかかわることではないのですが、2章で説明したように、そういった源からくるストレスが原因で、うつ病となり自殺してしまう人が多くあることから、奇跡の命を基準とする価値観を構築する中では無視することができないのです。
学生: 確かにそうですね、どうすればよいのでしょうか。
津村: この本は、もしあの世がないとしたら、という仮説から、奇跡の命(意識)に展開しつつ、その実践上は人間の本能や社会的本能が大きくかかわることを述べてきました。
私たちはその人間の本能や社会的本能を認識し、より良く生きることができる時代に向かうことを私は期待しています。
次章では、人間の本能や社会的本能を認識できる時代を迎えて、あの世のない、価値観のない世界にいかに生きるか、新たな生きる希望についてお伝えしたいと思います。