【前回の記事を読む】マインドフルネス実践をサポート…カメラで心拍や感情まで測り“心の変化”を可視化する新時代
2.もしあの世がないとしたら、自殺についてどのように考えるか
2.3 生体のリアルタイム計測
自身の中で生まれる本能や社会的本能を可視化する力
カメラで自律神経の状態や感情を計測する
津村: この自律神経の状態で、感情判別で重要である、興奮⇄鎮静の特性を見ることができます。顔の表情に関する情報からは、快⇄不快の特性を見ることができます。この興奮⇄鎮静の軸、快⇄不快の軸の2つの特性(2つの軸)の2次元空間で、我々は多くの感情を表現することができるといわれています(ラッセルの感情円環)。
学生: 感情は抽象的な感じもしましたが、工学的に計測できるのですね。
津村: そうです。カメラは今後ますます貴重なデバイスになります。他に、赤外線カメラを用いることで、体温を非接触で計測することも可能です。さらに、深層学習や画像処理技術の進歩により、より精密な情報をリアルタイムで取得できるようになります。
学生: すごい進歩ですね。この技術はどんな場面で活用されているんですか?
津村: 医療分野や健康管理、心理学の研究などさまざまな分野で活用されようとしています。例えば、健康管理ではストレスや疲労の状態を把握するために活用されたりしています。
学生: 医療や健康管理だけでなく、心理学の研究にも役立っているのですね。
津村: この技術の進化により、生体情報をリアルタイムで計測することが容易になり、それによって新たな研究や診断手法の開発が可能になります。
学生: すごく興味深いです。将来、このような技術がさらに進化して、どんなことができるようになるのか楽しみですね。
津村: 技術の進化は非常に速いですから、将来の展望も楽しみです。良い勉強になりましたか? このカメラの生体計測の技術を人にフィードバックし、その人の生きがいを向上するミッションの中から、本書が作られているのも重要なところです。
学生: いろいろ勉強になりました。こういう試行錯誤を自殺防止に役立てようということですね。自殺は極端な例としても、人のストレスや痛みなどを抑える試みがますます広がっていくことはわかりました。
津村: ありがとうございます。さて次は“殺人”についてお話しします。
学生: 自殺の次は殺人ですか! 極端な説明が先生は好きですね。
津村: 先の章の最後にも話しましたが、極端な例から考えることは一般化への近道だったりするのですよ。