3.もしあの世がないとしたら、殺人についてどのように考えるか

3.1 戦争と殺人

この時代に生まれてきてよかった

奇跡の命(意識)を大事にする文化

津村: もしあなたが、中世の時代や戦国時代に生きて、決闘や一騎討ちをしなければいけないときに、あなたの奇跡的な命、相手の奇跡的な命、どちらかしか生き残れないとしたら、どうしますか?

学生: えー、私は死にたくないです。

津村: 奇跡的な命を生きるためには、精一杯戦うしかありません。でもあなたが勝った場合は、相手の奇跡的な命は失われます。

学生: 両方が生き残る方法はないのでしょうか?

津村: 中世の時代や戦国時代ですから、そういう方法はないですね。

学生: 戦国時代に生まれなくてよかったです。

津村: まさしくその通りで、今の世の中は、“人間に関して”は、奇跡の命(意識)を大事にする文化になっています。戦争以外はですが。ほとんどの国において、殺人は良くないことで、殺人を行うと逮捕され刑務所に入れられ、場合によっては死刑になります。

学生: 当然、殺人が厳罰に処される文化であるべきだと思います。

津村: 正直、進化論的な考え方を信じる私からしたら、人間の奇跡の命を尊重する社会が、私たちが今生きている社会であることも奇跡だと思います。

これまでの多くの社会の中での殺人の歴史から考えると、人類は互いに殺人をしない文化に向かうのか、また殺人を行う文化に向かうのかの答えはないし、これまで言い続けたように価値のないことです。

価値はなくとも、進化の淘汰の歴史で、残ってきた文化が歴史を作る。そのとき、今のような殺人をよしとしない文化がこれからの淘汰の歴史で生き残るとは限らない。環境も変わります。核戦争後の荒廃した世界では、強さのみがすべてであるかのような漫画も昔ありました。

             

学生: ますますこの時代に生まれてきてよかったと思います。

津村: そうですね。今は、基本的には、殺人は良くないという文化ですので、奇跡の命(意識)を大事にする時代です。でも私たちの見えにくいところで、虐殺などが行われていることも理解しなければいけません。

 

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