3 異世界と四種の神器(じんぎ)

六月の第一日曜日、ひょうたん池公園で修司はナンデモ研究会の四人を見かけた。

四人は緑の相談所の脇(わき)を過ぎ、左側の小道を下りて、広場のはしに出た。あの青山みどりが消えた岩のオブジェに、近寄っていった。

修司は木々の後ろに隠(かく)れるようにして、四人を見ていた。

岩は丸みのある立方体だ。四面はほぼ東西南北を向いていた。四人が分かれて、四面に立ったとき、まわりの景色がゆれた。修司もその中に巻きこまれた。

青山みどりと思われる、静かだが深みのある声がひびいた。

「いらっしゃい。あなたたちは私のいる異世界に必ずやって来ると思っていたわ。ナンデモ研究会の四人の勇士たちよ。あなたたちに、この世界の案内人を紹介(しょうかい)しましょう」

修司は思わず、木々のかげから広場に出て、四人に近づいた。それもニコニコしながら大きく手を広げて。

悟の驚(おどろ)いた声がひびいた。

「藤山先生!」

 

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