【前回の記事を読む】【社長室で詰問】「辞める、はここでは禁句だよ。みんなで一致団結していこうという時に。」
第1章 債権者集会
債権者集会
弁護士に会った松葉と仙田は、会社の事情を説明して、〝債権者集会の準備をお願いできないか〟と相談したところ、弁護士は笑いながら、
「我々でやると高く付きますよ。集会に必要な書類の一覧を準備しましょう。和議のひな型がありますので、それを参考にされますか。あとでファックスしておきますよ」
「ありがとうございます。ところで、先般、伺った債務免除率の件ですが、いくらぐらい考えておけばよろしいでしょうか」
「和議の場合は、50%ぐらいでしたね」
「そうですか……そんな免除率では、とても返済できないと思います」
「民事再生法の根幹は、事業を継続させることですから、債権者集会で過半数を得られれば問題はありませんが、それでも60%まででしょう」
「先生、詳細の資金繰りを出してみなければ分かりませんが、80%でも無理だと思います。」
「それでは債権者が納得しないでしょう」
すると、仙田が、
「債権者が納得しない、と言われても現実問題としてそんな免除率では無理です」と手を横に振りながら、訴えるようにして言った。
「先生、私もとてもできないと思います。何とかもっと免除率を上げるにはどうすれば良いか、ご指導頂けませんか」
「指導も何も、債権者次第ですからね」
これでは、押し問答になってしまうと思った松葉は、
「先生、分かりました。一度持ち帰って資金繰り表を作ってみます」
そう言って、事務所を辞した。