【前回の記事を読む】「担当者が変わるなら、取引をやめる」と言われ、契約解除。会社は倒産寸前…借金の弁済額もなんとか捻出するが——
第1章 債権者集会
債権者集会
「鹿児島第一銀行って、今更何を言い出すのでしょうね。今まで、会長には何も言わないでおいて、こんな事態になったからと、会長の追加保証を求めるなんて何を考えているのでしょうか。
自行の審査能力の乏しさを言っているようなものだと分からないのでしょうかね。鹿児島第一銀行から出向してきた外村が言った、と社長から聞いたことがありましたが、『こんなに悪くなるとは思いもしませんでした』と。
こんなに悪くなる? こんなに?どこが? こんなことってよくあることだ! いつも凪の日ばかりあるか! 私はその時 カチーンときました。
何を言っているのだ、事態の急変にどう対応するかも金を扱う者の仕事だろう。何も責任は感じないのか。誰かがテレビで言っていましたが、〝貸した側にも責任があるのではないか〟と」
仙田の怒りも収まりそうもない。
「専務、私も腸が煮えくり返るほど腹が立ちます。今の日本人というのは、自分の言ったことに責任を取らない、取らないどころか感じることさえない。責任回避ばかり考えています」
と、竹之下も怒っている。
「日頃から、社会貢献、地域振興を錦の御旗に掲げ、地域の発展を吟じて憚らない地方銀行が、自らそれを放棄していることに気付いていないのか、知っていて、都合の悪い時だけ知らない振りしているのか。
それこそ自分に恥ずかしくないのですかね。全く滑稽と言わざるを得ませんね。地域のリーダーたるべきバンカーが将にサラ金に成り下がったという図そのものです」
仙田は、鹿児島第一銀行に対する失望を隠そうとはしなかった。ことこの場に及んで会長に相談はできない。会長を窮地に追い込むだけにしかならない。
もう既に事態は動き出しているのだから。相談することはやめ、債権者集会に諮った結果を会長に報告することにとどめた。
「専務、20%で行きましょう。過半数を得られなければ破産ですね」
「できない再生計画を出して、その場を凌いでみても意味のないことですね。やむを得ません」
免除率20%で債権者集会に臨む前に、金融機関への説明会を開くことにした。金融機関だけでも事前に再生計画を説明し、事前に概要を知ってもらっておいた方が良いという判断からだ。
先ず、専務より再生計画を説明し、各行の意見を聞くことにした。
しかし、集まった担当者からは何の質問も出なかった。相当厳しい対応を迫られるのではないかと、松葉は身構えて出席したが拍子抜けした。