娘にいじられるという現代の親子関係
先日、中3の娘のLINEを見ると僕の登録名がHたろうくんになっていました。これはさすがにショックで、実の娘にいじられだしたら、父の威厳はもう崩壊しています。しかしふと、これは現代ならではの新しい親子関係の象徴なのだなと、感じた瞬間でもありました。
僕の親父は3年前のクリスマスに他界したのですが、昭和の頑固親父といった感じの、時に厳しい人でした。昔、親父に言われたことでよく思い出すのが、次の言葉です。
「お前は誰に似たのか、人付き合いが上手で誰からも好かれる性格で羨ましい。俺はそれができなかったし、お前の兄や弟もそんなに得意ではないと思う」
確かに、親父は誰とでも仲良くできるタイプではなく、どちらかというと人付き合いが苦手で、好き嫌いも激しかった。そんな親父から僕は、自分のようにならずにお前の良いところを伸ばして頑張れ、というメッセージをもらったことを今でもよく覚えています。
時を経て自分も親になり、今では3人の娘の父親となりました。男兄弟と女姉妹では違うだろうし、生きている時代も違う。けれども、自然と僕は親父を反面教師にしているのか、あのとっつきにくく、決していじることのできない親父とは真逆の、にこやかで友達のような親子関係を自然と築いています。
親父なんて思春期には娘から煙たがられる、それは仕方のないことだと思いつつも、娘の好きな音楽や動画、ゲームを一緒に共有しながら、「パパはいつも面白いコンテンツを提供してくれる」と思われるように密かに努力をしているのです。
しかも、都合よく我が家は妻が厳しい役を買って出てくれているので、僕は常にフォロー側でいることができる。そんな妻のおかげもあって、良好な親子関係が維持できており、僕はたとえ娘からであろうが、いじりやすい存在でいられて嬉しいなと、LINEの名前を見て感じました。
いじられることで、周りの関係値のなかで、「あっ、この人はこのくらいいじっても平気な人なんだ」とインプットされるわけです。くれぐれも言っておきますが、プライドがないわけでも、お人好しなわけでもないです。
ただ、この「いじられる」という行為が、芸人さんでいうところの「おいしい」ということが意識できるとよいのです。相手がいじるという時点で心を許しており、そこには心の壁が取られながら一方で信頼関係が築かれてもいるのです。
そしてそれは、親子関係でも仕事の関係でも友人関係でも夫婦関係でも、円滑で良好な関係構築には必要なことなのかもしれません。
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