疲れているカオルが、シャワーを浴びてベッドに横になった。真由子はカオルにお願いした。「カオルくん、お願い。分かってると思うけど、私流星くんに恋してるの。だから横に寝てもお友達モードでね……」

明るく真由子が伝えると、

「もちろん、心配しないで。俺疲れてるからすぐ爆睡するよ」と言うなりカオルはすぐ寝てしまった。寝返りはおろか、寝息も聞こえないほど静かでお行儀がよかったので、かえって真由子がびっくりした。

(何だか凄く躾された大型のハスキー犬みたいだな、カオルくんは……)

由緒正しいお坊ちゃんであるカオルは、寝ている姿までイケメンだった。翌朝、爽やかに目覚めた真由子とカオルは、ホテルのモーニングを一緒に食べ、帰る方向が同じなので、横浜まで一緒に行ってそこで別れた。

カオルが来て泊まってくれ、帰りも途中まで一緒だったので、真由子は寂しい思いをせずに済んだ。還暦間近になる真由子の誕生日祝いは、真由子の人生の中で最高のバースデーになったのは間違いない。

真由子は、掲示板に長く書き込みを続けたり、流星と目立つようにデートしたがったり、SNSなどで言うところの承認欲求の強めな女性だった。

美人だと若い頃から言われてきた真由子だったが、結婚して以来は女性らしく華やかに装うことや、男性に優しくエスコートして貰うなんて、まったくないままいつのまにか50代後半の年齢になっていたのだ。

だが、今年の春にパラダイスアロマで流星と出会ってから、次々と展開した恋物語は、奇跡であり、不思議な物語と言えるかもしれない。

もちろんそれは、真由子自身が、流星との時間の為に、お金を支払い演出していたとも言える。それでも真由子がそれまでの人生で味わったことのないトキメキや楽しさを流星やカオルと過ごした時間に感じていたのは、間違いない真実だった。

 

「大人の恋愛ピックアップ記事」の次回更新は11月1日(土)、12時の予定です。

▶この話の続きを読む
「オシッコ漏れそうなの必死で耐えたんだからね!」高尾山を走って下山。恋人気分で登ったのに、銀座のホテルで次の仕事だと言われ…

▶『東京フェイクLove♡』連載を最初から読む
「花川流星くんで。今日の午後15時に」望月真由子、57歳。夫とのSEXレスの不満の矛先はイケメンマッサージの店へと向かい…⁉

『夢を叶えた、バツイチ香子と最強の恋男』にハマった人、必読!

番外編の連載企画も進行中!

👉「いくつになっても、恋は始まる。」──ときめきが止まらない“大人のラブストーリー”特集

 

『夢を叶えた、バツイチ香子と最強の恋男』(通称「バツ恋」)が今夜ついに最終回。
“バツ恋ロス”の心に寄り添う特集〈バツ恋ロスピックアップ〉を、27日より配信します。“恋する勇気”を取り戻した大人たちの物語を集めました。どうぞお楽しみに!