台風
台風の季節が来た。
気象学の定義では、熱帯低気圧のうち最大風速34ノット以上で、赤道以北東経180度以西に進んだ場合に台風と称する。同じ熱帯低気圧でも大西洋のあたりではハリケーン、インド洋付近ではサイクロンと呼ばれる。
日本では、大昔は「野分(のわけ)」、明治以降「颶風(ぐふう)」と称され、台風と記載するようになったのは一九五六年以降だという。名称の由来は諸説あって、中国の大風(タイフン)からきたという説、ギリシャ神話の巨大な怪物テュポン(Typhon)が英語のtyphoonとなり、日本へ逆輸入されたという説もある。
昨年ニューオーリンズに大被害をもたらした、ハリケーン・カトリーナは記憶に新しいが、アメリカ合衆国ではハリケーンにABC順に名前をつけるのが習いだ。なぜか女性名がつけられ、日本でもカスリーン台風、キティ台風などが歴史に名を残している。一九四〇年代の米軍占領中の置き土産だ。
その後一九七九年に性差別をなくす意味で、男女の名を交互につけるようになったというが、日本では慣例として発生順に番号を付す。もしも日本名をつけたとしたら、桃太郎台風などというのはずいぶん暴れそうだし、静香台風などというのはひそやかに通り抜けそうだ。
いずれにしても自分と同名の台風が上陸などすると、肩身が狭い思いをするだろうから、やっぱり台風は数字で呼ぶほうがいい。
(二〇〇六・九)
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