【前回の記事を読む】なぜ人類は母系社会から父系社会へ移ったのか──お釈迦様誕生の時代に迫る
序論
第一節 日本古代史への動機とシャカムニの思想および母系制と父系制についての序論
母系制から父系制へと移り変わるこの歴史の一大変容期の末期にあったと思われるシャカ族中に、シャカムニは生を受けた。
存在の本質は、存在それ自身にあるのではなく、存在と存在、物と物との間の時空空間に横たわる、相互の関係律という、目には見えぬ法則にある、と説いたシャカムニの思想は、甚だ近代的合理的な思想であり、この合理性の徹底ゆえに、当時としては、革命的でもあり、難解でもあった。
この、存在相互の関係律のことを、シャカムニとその弟子たち、原始仏教徒たちは、因縁と呼んだ。
私が在り、あなたが存在するのは、私とあなたの間に、互いに通い合う相互関係、相互因縁が、しかと存在するが故である。ただそれ故にこそ、私にとってあなたは存在し、あなたにとって私は存在する。
私という存在が、この宇宙に、あなたを含むすべての他者との関係を絶ってただ一人存在したとしても、それは存在の名に値しない。私は、宇宙にあって無きに等しい。
あなたにとっても同じことである。あなたが在るがゆえに、私が在る。私が在るがゆえに、あなたも存在する。
あるいはまた、E=mc2という関係律は、エネルギーと質量の間の関係律、つまり、光子と物質の間の同値関係を示す関係律である(mは物質の質量、cは光速、Eはその物質が全て光子に変化した場合の光子エネルギーである)。
例えば陰電子と陽電子という物質が出会うと、二つは、それぞれが持つ固有のひずみを解消し、それぞれの質量と等価なエネルギーを持つ二つの光子=二本のガンマ線と化して無窮の宇宙へと飛び去る。これは物質が全て光子から成ることを端的に示す現象である。
 
   
   
       
               
               
               
       
       
             
             
       
       
    
    
    
    
    
   