また、診断において注意すべきポイントの一つに「臓器によって加齢の速度が異なる」ことがあります。例えば、眼球のレンズである水晶体が加齢によって濁る状態を白内障といいますが、若い方では50歳代から白内障の影響を感じることがありますし、90歳になっても不自由を感じない方もいます。
一方で、「角膜(黒目)」は加齢の影響をほとんど受けず、70歳代で亡くなった方の角膜がドナーとして提供されて、30歳代の患者さんに移植される場合もあります。すでに70年使用された角膜がさらに数十年も健康に機能するのです。
このように、老化プロセスには個人差に加えて、臓器ごとの違いもあります。そのため、まずは自分の体の「現在地」を把握することから始めることが重要です。実年齢に比べて劣っている臓器や優れている臓器を把握することで、鍛えるべき箇所が明確になります。
また、生活習慣や遺伝的背景を詳しく調べることによって、病気になりやすい体質なのかを調べることができます。さらに、病気が早い段階で診断されれば、治癒する可能性が高くなります。
「Check」、すなわち精密健診は、いつどのような介入が最も効果的かを確認するための羅針盤であり、健康寿命を延ばすための戦略的な投資を計画するのに役立ちます。
体の老化状態を確認する
加齢は時間の経過に伴って体に生じる一連の変化のことを指します。加齢の影響を受けない臓器はなく、最新の検査によって骨、筋肉、代謝、免疫・血液、脳神経、感覚器(目や耳)、内分泌(ホルモン)、内臓(肝臓、腎臓など)の各臓器における加齢を細かく評価することができます。
各臓器が個々に老化した結果として我々は老いるのか、あるいは、脳や免疫系の老化が体全体の老化をコントロールしているのか、まだ詳しいメカニズムはわかっていません。おそらく、体の各部位が複雑なネットワークで互いに結ばれており、お互いに影響し合うことで総合的に加齢が進むと考えるのが妥当です。
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