【前回の記事を読む】地元不動産会社の買取に任せきりにしていたが、「売却して失敗だった…」――失敗しないための売却戦略とは?
第一章 相続不動産売却5つのポイント
不動産コンサルタント 佐藤良久
ポイント1 不動産の売却は、金額と条件はもちろん、売却後の状況も想像して対応すること
事例1 相続で取得した不動産を売却して損をしたAさん
自宅の隣地ということは、自宅の一部としても活用可能です。今後、自宅に賃貸併用住宅を建築する、自宅を建て替えるなどの選択が出てきた際、隣地も一体活用できるとなると選択の幅は広がります。しかしAさんは、その選択を検討することもなく売却してしまいました。
このような選択ができることの検討をせず、リスクを説明しない不動産会社も悪いのですが、時既に遅し。過去に戻ることはできず、隣地には密集して建てられた建売住宅が5棟も建つことになり、住んでいて圧迫感を感じることになりました。反対側に住む方からも景観が悪くなったと言われ、関係も少しギクシャクしてしまったとのことでした。
この事例から学べることは、不動産売却の際には自分でも市場調査を行い、長期的な視点で活用方法を考えることの重要性です。また、一つの専門家の意見だけでなく、複数の視点からアドバイスを求めることも大切です。重要な決断をする前には、十分な情報収集と慎重な検討が欠かせないのです。
ポイント2 不動産の相場観を調べ、複数の意見を伺うこと
不動産を一番高く売る方法はあるの?
相続不動産売却の成功は、会社の規模よりも優秀な担当者との出会いにかかっています。優秀な担当者とは、知識と経験、コミュニケーション能力を兼ね備えた専門家のことを指します。
ただし、注意すべき点があります。それは、一社だけに声かけすることです。現代では医療でもセカンドオピニオンを求めるのが一般的です。不動産は高額な商品ですから、一社の意見を鵜呑みにするのは危険です。
会社が大手であるか地元密着型であるか、あるいは金融機関の系列会社であるかはさほど重要ではありません。最良の結果を得るためには、複数の不動産会社に声をかけることが重要です。
各社の対応を比較し、最も信頼できる担当者を見つけることで、高額かつ有利な条件での売却が可能になります。複数の会社から情報を得て、比較検討することによって、最も自分のニーズに合った選択ができるのです。
もちろん、お客様自身で物件の相場を調べることが大切です。今の時代、インターネットにつながっていれば、売却に必要な情報を事前に調査することができます。
・対象不動産の公示価格・基準地価・路線価等を確認する。
・近隣で売り出しされている物件価格を調査する。
この2点を行うだけで、大方の売却価格が見えてきます。
ここに調査に使える参考サイトとして
・国税庁路線価図 https://www.rosenka.nta.go.jp/
・国土交通省不動産情報ライブラリ https://www.reinfolib.mlit.go.jp/
を紹介しておきます。