【前回の記事を読む】「大手に頼めば安心」「付き合いのある不動産屋/金融機関だから問題ない」…相続対策、本当にそれで大丈夫? 地主のための実践ガイド
第一章 相続不動産売却5つのポイント
不動産コンサルタント 佐藤良久
ポイント1
不動産の売却は、金額と条件はもちろん、売却後の状況も想像して対応すること
時代は購入・土地活用より売却の流れに
相続不動産対策には、主に次の方法があります。
・借入を行い、アパートやマンションを建てる
・現金や借入を用いて不動産を購入する
本来なら、不動産の活用方法を決める際には、購入、建築だけではなく、売却/活用(リノベーションやコンバージョンを含む)/現状維持の3つの選択肢を十分に検討すべきですが、紙面の都合上、今回は特に重要性が増している「売却」の戦略に焦点を当てて説明します。
まず、不動産市況について確認してみましょう。不動産価格は首都圏を中心に上昇しています。令和5(2023)年7月に国税庁が公表した路線価によれば、銀座など商業地は新型コロナウイルスからの回復が顕著に表れ、上昇傾向にあります。
このように大都市圏が安定している一方、地方は人口減少や財政悪化などが要因となり厳しい状況が続いています。