庭にはたくさんのマリーゴールドが咲いていた。ミニトマトは1m位のクリスマスツリーのように、三角すいになってたくさんの実を付けていた。嬉しくて写真を撮った、そんな暑い夏の日。汗だくのお母さんと生後2ヶ月くらいの赤ちゃんが入って来た。

カウンターの横の長椅子にそっと寝かせて、ランチを素早く完食していた。お母さんは、食べている間に赤ちゃんが泣かなかったことに、ほっとしていた。

私は、

「食べられて良かったね。大変だけど頑張ってね」

「はい。ありがとうございます。上の子が3人いるから大変なんです」

「あら」

と言う言葉しか出なかった。育児休暇らしい。お乳をやり始める姿がやはり慣れていた。見ているだけでほっこりした日だった。次の週は、おばあちゃんも一緒に来た。おばあちゃんといっても私より若い。

何回もトマトで会うことに凄く出会いを大切にする方だと思った。

「いつもトマトでお会いするから、ご縁がありますね」

と言って世間話や孫のことを話すことが多かった。

私は毎日来ている事を最初に言わなかったから、ご縁があることに少し戸惑い、としゑさんに話したらとしゑさんは

「それがご縁なのよ」

とさらっと交わした。

トマトが閉店して数カ月が経った頃、フラのイベントの会場でその方から、

「懐かしいです。5、6年ぶりですね、ご縁がある方だから凄く嬉しいです」

と、突然言われたが、私は一瞬誰だか分からなかった。

「トマトが無くなったから、寂しいですね」

と言われて、すぐに分かり、私は

「お元気でしたか。ほんとに懐かしいですね」

と言葉を返した。

その後のイベントでは、花束を持って観に来て下さり、やはりとしゑさんのいう通り、ご縁だと思った。