お部屋のインテリアを探す時

好きなインテリアを探す時、私は、リサイクルのお店を覗きます。何もない部屋をどう活かしていこうかと思って、いろいろなお店を眺めながら過ごしていると、意外にリサイクルのお店に並ぶ素敵なものが、目に入ります。

手放された方はきっと、「いいな」と思って買ったけれど、その元の持ち主は、これは「まだもったいない」と感じてリサイクルに出されたのでしょう。一度人の目で選別され、愛されてきた家具だからこその良さが、あるのだと私は思います。

「手放すには、もったいないけれど、仕方がないな」と思った前の持ち主の気持ちが見える家具に出会うと、嬉しくなります。私は安く買えるからという気持ちより、愛着のあった家具に出会う歓びをリサイクルのお店に感じています。

ですから、リサイクルのお店を覗く時は、心のどこかにその家具に出会えることへの楽しみを持ちながら店内をうろうろします。SDGsでありながら、本物の出会いを探す場所でもあります。

売り手は、今の流行も踏まえて家具の価値を付けていきます。そんなお気に入りを見つけた時は感動です。「大事に使われてきたのだろうな」と思って眺めます。我が家にそんな家具を迎えた時、「大事にしなくちゃ」と改めて思いますね。気が付けば、リサイクルで購入したもので、私のアトリエはできていました。

私のアトリエには、お気に入りの一人掛けソファがあります。それは、実家の古いソファを、ウィリアム・モリスのデザインの布で張り替えたお気に入りです。父がこの椅子に座って、よく庭を眺めていたなと思い出します。布を張り替えたこの椅子が、部屋に帰った時の一番のお気に入りの場所となっています。

実はこの一人掛け椅子の張り替えに、20万かかっています。大事に使うためのお金だと思います。長い目でみれば、安上がりです。

この椅子は、父が使っていた時代からすると60年使っているのです。この椅子を活かすための20万は、私にとっては、かけがえのない大事な費用でした。決して高くなかったと思っています。人は、色やカタチだけでなく思い出も家具に求めているのです。「アート」は、生活をこのようにして歴史を繋いでいくのです。

 

 

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