「しばらく。元気にしてる? 何か、凄いことになってるみたいね」教室がお休みの日に、親しい友人が突然訪ねてきました。私は久々の来客に思わず嬉しくなって、リビングに通しました。隣室の収納庫代わりに使用している押し入れを開けて、座布団を出そうとしました。

何と! 目の前の棚には、紙くずなどのごみを入れたダンボールの上にピアノのテキストが数冊重ねてあり、さらに「商売繁盛」と「厄除け」の神札が二枚立て掛けてあったのです。

何度目のびっくりでしょう。一体どういうことなのか、理解に苦しみます。私が呆気に取られていると、「どうしたの?」と寄ってきた友人も、これを見て驚いて言いました。

「これはひどいね。まるで我が家みたい。そこまでするとは、変わった人ね。でも、他人に部屋を貸すということは、そういうことなのよ。あなたは人がいいから」

私は、どういうことよ、と思ったけれど、今までのことを振り返ると、やはり軽率だったのではと思い、黙認すべきなのか悩んでしまいました。

たしかに、私はお人好しであることは認めます。これまでは、人様のお役に立つならばと、いろんなことに身を惜しまず頑張ってきましたが、こんなことは初めてです。友人の言葉に、さすがの私も落ち着かなくなりました。

リビングは、週三日の限られた時間だけの契約で、共有スペースなのです。家主に断りもなく勝手なことをされては、この先が心配だし、ストレスが増える一方です。やはり解約しようと、腹が決まりました。

 

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