[ホーン・ヤールの分類]

Ⅰ度:症状は軽く、体の片側だけに限られます。

Ⅱ度: 両側に症状が現れ始めます。日常の生活や仕事がやや不便になります。

Ⅲ度: 方向転換のとき転びやすくなります(姿勢反射障害の出現)。生活に制限が出てきますが、自力での日常生活は可能です。

Ⅳ度: 立ち上がる、歩くなどが難しくなります。生活のさまざまな場面で、介助が必要になることがあります。

Ⅴ度: 立ち上がる、歩くことが困難になり、車いすが必要になります。日常生活にも介助が必要になります。

診断1 パーキンソン症候群との鑑別

「パーキンソン症候群」とはパーキンソン病と運動症状が似ていますが、パーキンソン病とは異なる疾患群を指します。例えば、他の変性疾患(多系統萎縮症、進行性核上性麻痺)、脳血管障害、薬剤性、精神疾患、正常圧水頭症などが挙げられます。脳梗塞によるパーキンソニズムは頻度が高いようです。

パーキンソン病はL -ドパ製剤でドパミンを補充することで症状の改善が期待できますが、これらの疾患はそれぞれ原因が異なりますので、L -ドパ製剤の効果は見込めないことが多く、それぞれの原因に基づく治療が必要となってきます。

脳梗塞によるパーキンソニズムの場合、脳梗塞のさらなる発症を抑えるために血小板を抑制する薬剤が使われることが多くあります。

薬剤性であれば、原因薬剤を中止することが第一選択となります。正常圧水頭症は脳脊髄液が脳室内に過剰に溜まって脳を圧迫するために起こるので、脳外科的治療で圧迫を減じることで、症状の改善が期待されます。

パーキンソン症候群を呈する疾患を鑑別し、正確な診断ができるよう注意を払う必要があります。また、臨床症状だけでなく、これらの鑑別にはさまざまな補助診断が必要になることがあります。