債権者集会

松葉は、債権者集会に向けての準備を専務の仙田と進めることにした。

「専務、準備のためのスタッフを2名ほど指名しましょうか」

「社長、うちの社員では無理だと思います。怯えて、頭が混乱しているようです。社員集会の翌日の朝、本社の玄関のシャッターを閉めろ、と常務が言ったのを聞いた社長は、シャッターを閉めるな、とおっしゃいましたよね」

「そうです。言いました」「その時、常務は怯えた顔をして、こう言いました。『債権者が押し寄せると収拾がつかなくなります』と」

「確かに、そう言いましたね」

「常務からして、こうですから、みんな、今後のことが不安で、仕事も手につかないと思います。まして、債権者集会の準備などできそうにないと思います」

「そうですね。そうでしょう。さてどうしますか」

「弁護士事務所に相談されたらどうでしょう」

「そうしましょうか。それでは、これから専務と一緒に行きましょうか。弁護士のアポを取って下さい」

「分かりました。急ぎましょう。ここから電話を入れます」仙田は、社長の机の電話を取ってアポを取った。

幸い、“昼一番に会える”という。

二人は、早い昼食をすませ、今藤弁護士事務所に向かった。

    

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