人工関節置換術前に母が通院していた病院の医師は「もう、歩くことはできません」と言うばかり。

当時の母は歩行を除けば身体的に正常であり、認知症の症状もありませんでした。その病院では人工関節置換術を行っておらず、手術のことを何も教えてくれませんでした。医師ですから知らないはずはないのです。

私はこのときに、セカンドオピニオンの必要性を強く感じました。私が調べなければ、おそらく母は亡くなるまで歩けないままだったでしょう。

手術を行っている病院で診察を受けるには紹介状が必要です。それは現在お世話になっている老健にお願いをし、書いてもらうことにしました。

そして診察。レントゲンを撮ったかどうかは忘れてしまいましたが、意外にあっさりと手術によって歩行可能であることがわかったのです。

私が次にやるべきことは母の了解を得ること。当初、「今さらそんなことをしてもしょうがないよ」と否定的で取り合ってもらえませんでした。母は言い出したら自分の主張を押し通すこともわかっています。

どう考えても手術を受けたほうがいいのです。私は、自分の足で歩ける便利さを否定する母が理解できませんでした。

 

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