3 動作内容をバランスよく選択して偏りに注意する

日常生活の動作を、部分運動と全身運動に大きく分けて考えてみます。表1の「からだの基本運動(部分・全身)」(26ページ)を参照していただくと理解しやすいと思います。

写真を拡大 表1 からだの基本運動(部分・全身)『日常生活で自分のからだを知る・つくる体操』(春山文子 文芸社)より転載

部分運動では関節を中心とする一部位の動きを行いますが、全身運動ではからだ全体を動かす移動動作を伴います。部分運動でも座った姿勢で行う動作と立位姿勢で行う動作があります。

部分運動では歩数計ではカウントしませんが、全身運動は上下、左右、前後に移動する動作で(普通速度以上のとき)、歩数計でカウントします。

ただし、全身運動でもゆっくり歩く動作(展覧会場など)や忍び足で歩くとき、ゆっくり立ち上がるときには歩数計ではカウントしません(スマホやウェアラブル端末と歩数計では異なります)。

ですから部分運動と全身運動が偏らないように配慮することが大切です。現代生活ではどちらも不足がちで、身体活動や運動不足による不健康状態が問題視されていることを意識して、生活習慣病の予防にバランスよくからだを動かす心がけを忘れないようにすることが大切です。

また表1からもお気づきでしょうが、日常生活の動作では部分運動も全身運動でも「人、物、場、事」と関わる動作が行われます。

現在の生活動作は手、足、胴体が連動して動く全身運動が減少傾向です。

生活環境の便利さが原因の機能低下や経験不足、未発達機能も感じられます。子どもの外遊びの減少は低鉄棒での逆上がり、跳び箱、スキップなど遊戯の中で行う機会を奪い、運動嫌いや体育嫌いを増やす原因になっています。

片足に体重をのせて立つことができなければスキップは怖いでしょう。また、腕を曲げてからだを引き上げられないと逆上がりはできないでしょう。高いところから飛び降りて支える筋力がなければ飛び降りるのも怖いでしょう。

いろいろな運動遊びの機会が少ないことが原因で、怖い、できない、嫌い、やりたくない、という感情が生まれるのは当たり前でしょう。うまくなるまで、からだが覚えるまで繰り返し行う時間が足りないように思われます。

 

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