はじめに
理学療法士としての人生の歩みの中で気づかされたことがあった。
それは人間学の探究と自己の究明である。
その道を歩み出すことによって、真実に生きることの大切さが信知(しんち)された。
そして、被教育者に学ぶ絶対無限の真理こそが、我が人生の帰趨(きすう)であることを教えられたのである。
わたしはいったい何者なのか?
自分はいったい何のために生きているのか。
働いている意味は何なのか。
誰しも生きる意味を問わざるを得なくなる時がある。
それが遅いか早いかは人それぞれだ。
若くして気づく人もいれば、さまざまな艱難(かんなん)に出遇ったり、老齢になってから気づく人もいるであろう。
また、自分に気づくことなく一生を終える人もいるかもしれない。
自分に気づくとは、自己とは何かと問う、自己への気づきであるとすると、それは人類五千年における永遠の課題であると言っても過言ではない。人間学の探究である。
(1) 鹿野治助編 『キケロ エピクテトス マルクス・アウレリウス』 世界の名著一三 中央公論社 一九六八
(2) 清沢満之 『清沢文集』 岩波文庫 一九二八
(きよざわ・まんし) 一八六三年生まれ。明治時代の仏教哲学者・思想家、真宗大谷派の僧。(中落)東京大学大学院にて宗教哲学を専攻。一八九九年真宗大学の初代学監に就任。(中落)東京に私塾浩々洞を設立し、暁烏敏(あけがらすはや)らと雑誌『精神界』を創刊、精神主義運動を提唱して革新的な信仰運動を展開した。 (清沢満之 藤田正勝訳 『現代語訳 他力門哲学骸骨』 法藏館 二〇〇二より抄出)
(3) 山本貴光、 吉川浩満 『その悩み、エピクテトスなら、こう言うね。』 筑摩書房 二〇二〇
(4) エピクテトス〔鹿野治助訳〕 『人生談義(上)(下)』 岩波文庫 一九五八
(5) 安藝基雄 新版『一臨床医として生きて』 岩波書店 一九九八
(6) 福井達雨 『僕アホやない人間だ』 柏樹社 一九六九
(7) 糸賀一雄 『この子らを世の光に』 柏樹社 一九六五
(8) 眞杉 章 『天使のピアノ』 ネット武蔵野 二〇〇〇
(9) 丸田和夫 「釜ヶ崎越冬闘争随見記―一人の餓死者も凍死者もださないぞ」 『理学療法ジャーナル』四五巻四号 医学書院 二〇一一
(10) 本田哲郎 『釜ヶ崎と福音』 岩波書店 二〇〇六
(11) 丸田和夫 「縁なき何万の死も悲しいが、縁ある1人の死はもっと辛く悲しい」 『理学療法ジャーナル』四五巻八号 医学書院 二〇一一
(12) 亀谷凌雲 『仏教からキリストへ』 福音館書店 一九七〇
(13) 水野弘元 『仏教要語の基礎知識』 春秋社 一九七二
(14) 中村 元 『比較思想から見た仏教』 東方出版 一九八七
( なかむら・はじめ )一九一二年、島根県松江市生まれ。東京帝国大学文学部印度哲学梵文学科卒業。東京大学名誉教授、東方学院院長、比較思想学会名誉会長、学士院会員などを歴任。仏教思想・インド哲学の第一人者。(中略)多数の原典を原語から翻訳した。(中村 元 『原始仏典』 ちくま学芸文庫 二〇一一より抄出)
(15) 二宮フサ訳 『ラ・ロシュフコー箴言集』 岩波文庫 一九八九
(16) 中村 元訳 『ブッダの真理のことば 感興のことば』 岩波文庫 一九七八
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