もしもお子さんと意思疎通ができない原因に、思い当たることがあるのなら、介護を希望されていなくても、ぜひお子さんに詫びてください。
意外と早く、あっけなく最後のときは訪れるものです。
遺恨を残したまま、人生を終えることが親子双方によいはずがありません。
できれば遺言状を、皆が納得するかたちで残されることをお勧めします。
よく遺言状と遺書を勘違いされる方がいらっしゃいますが、遺言状は親と子を結ぶ絆であり、ときにすべてを守ってくれます。
親の健康状態により、看取り方も変わってくるので、状況が変わったら、その都度、遺言状を書き換えるのが、よりベストな選択です。
親の看取りの中核を担う人が決まったら、介護と看取りに貢献した人により多くの財産が渡るように、寄与分を明記されておくこともお勧めします。これにより血縁のない、お嫁さんが担ってくれた介護も報われます。
なにも決めてこなかったことにより、親がひどい扱いを受けたり、親子兄弟間での殺傷事件が起こったりすることを、頻繁にニュースで目にします。
殺人事件のじつに半数以上が、親族間で起こっているのです。
なにか事件が起こる前に話し合うこと、不本意でも和解への糸口を探ることが、事件を未然に防ぐ手立てだということもいえると思います。
仲直りしたい、これは親の気持ちだけではありません。
お子さんが激しくあなたを憎悪しているとしたら、それはあなたに愛してほしかった裏返しなのです。
どうか一度考えてみてください。
皆が下流老人にならないで済むためにはどうすればよいのか、難しく考えているだけで案外簡単なところにヒントがあるのではないでしょうか。
インフォームドコンセントは、家族にこそ必要なのです。