第三章 親子関係について思うこと
親とうまくいっていないあなたへ
憎悪は愛情の裏返しです。私がそうだったから、わかるのです。時勢が違ったからなのでしょう。私には父とも母とも手をつないで歩いた記憶がありません。
その代わりに、祖父と散歩した思い出が記憶の片隅に残っています。よくインターネットなどで、親にもっと〇〇してほしかったという言葉を目にします。匿名であるがゆえに、本心だと思います。
ご両親から独立されている方はぜひ、ご両親が健在なうちに気持ちを言葉にして直接伝えてください。特に、父親には「なにをいっているんだ」と、最初は跳ね返されて聞いてもらえないかもしれません。でも私は、心の底にあった本当の気持ちを話すことが、親との溝を埋め、円滑な介護と看取りを進める重要な鍵と位置づけます。
私は父に、怒鳴られても怒鳴られても、最後は向かっていきました。母は難病で、危険な局面も多かったため、ちゃんと話すことができずにいましたが、最期を報せてくれたのは、気持ちが通じていたのだと勝手に理解しています。
親と子の関係は、時代とともに大きく変化しました。子が親に服従することは当たり前で、それで家庭内の秩序が守られていた時代がありました。親が子の面倒をのちのちまでみてくれた、幸せな時代もありました。現在の経済状況では、そんなに経済的余裕がある親も少ないと思います。
子だくさんの時代には、長男長女が家の決めごとに重要な役割を持っていましたが、少子化で長男長女だらけの現代では、「長男だから」「長女だから」と、親が子に特別な役割を期待するのは無理があります。
時代は変わって、親子関係のあり方が変化しているはずなのに、親はかつて自分が経験した親と子の関係に当てはめようとします。成長すればするほど、子は押しつけの親子関係に違和感を持つようになります。たとえ親子でも感じ方まで同じとは限らないのに、親は子に、子は親に理想の親子関係を期待してしまうのだと思います。
現代はインターネットとスマホがあれば、どんな情報でも調べられます。親との関係がうまくいっていないあなたが、たとえば、ほかの家庭の親子関係や、理想的な親子関係について書いた文章を目にしたら、どう感じるでしょう?
私の親は、娘がインターネットを見ることを極端に嫌いました。それは昭和一桁生まれの親にとっては得体の知れない、それも多分、非常に悪い予感に苛まれての反対だったのだと思います。
どんな親子にも大なり小なり、うまくいかない時期はあります。親とうまくいっていないあなたへ。現在の親子関係がうまくいっていなくて、その原因が親にあったとしたら、親を許してくださいとはいいません。ただそのことだけに固執して、障がいを乗り越えられないあなたになってほしくないと思います。
親に将来の夢を理解してもらえずに、悩んでいるという話を目にする機会がよくあります。それでも夢を育てる機会は必ず訪れると思います。信じることから、夢を実現する道筋が拓けるのです。
「夢を見る」
夢見ることをやめないで
今がどんなにつらくても
大好きなことはたねになる
つらいときこそ夢見ていてね
向かい風はずっとは続かない
諦めないでずっとずっと信じ続ければ
きっとなれるよ
大好きな自分
次回更新は9月2日(火)、22時の予定です。
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