慎ちゃんたちがいやって言うわけがありません。父さんの口がとじたとたん、
「わーい、わーい!」
大はしゃぎです。
(あったかいドラム缶風呂も良いけど、星空の下でみんないっしょに水遊び。フフフ……)もう待ち遠しくて待ち遠しくて。まるで遠足に行くような気分です。
西の空が赤くそまり、やがて、辺りが真っ暗になったのを機会に、みんなは固まって家を出ました。空には信じられないように明るく輝く天の川が地平線まで広がっていました。
「なんだかまるでいたずらをしに行くみたいやね」
母さんが笑いながら小声で言いました。慎ちゃんたちは月と星の明かりをたよりにカナルへ向かいました。
十分ほど歩くと、カナルでした。犬の遠ぼえや、どこか遠いところから(ドンドコドンドコ)という太鼓の音が聞こえてきました。あとから知ったのですが、すぐお隣の国、ハイチの人たちが毎晩たたいている音だったのです。
(ハイチ人はブードゥー教を信じていて、夜になると太鼓をたたいてニワトリの生き血を吸って、コウモリになって飛んで行くんだぞ)
しばらくして親しくなったカトリック教徒のドミニカ人が、真剣な目をして慎ちゃんに説明してくれたことがあります。
カナルに着きました。辺りにだれもいないのを確認したあと、みんな急いではだかになり、セメントでできたカナルの斜面をすべるように降りて水の中につかりました。カナルは父さんがうでを広げたくらいの幅でした。入ったとたん、
「おや、昼間ほど水がないねえ」